ラスマス

ラスマスは上流社会の出身で、母親はアーテン市最大のテクノロジー企業の経営者だ。この企業グループはオメガエネルギーを使う機器を幅広く開発している。母親の会社はコアを含むオメガを燃料にした先端技術を生み出し、社会の構造を変えてしまった。ラスマスは生まれつき恵まれていたが、身体が弱く病気がちな子供だった。何よりも、ラスマスは仲間がコアストライクをプレイするのを見るのが好きで、自分も加わってフィールドでプレイしたいと熱望していた。母親は、身体の弱いラスマスはゲームが持つ攻撃性に圧倒されてしまうのではと危惧し、彼がプレイすることを固く禁じた。

それでも、ラスマスはこっそり抜け出しプレイしていた。しかし彼は、他の子供たちは自分とプレイすることに興味がないことを悟ってしまう。皆、彼の母親の身分を知っているため、万が一フィールドで怪我をさせてしまった場合の結末を恐れ、ラスマスをわざと勝たせてしまうのだ。この状況にラスマスはとてつもなくイラついた。もっと自分に本気で挑んでほしかったし、もっと自分を試してほしかったし、他の子供たちと同じように扱ってほしかった。こうした経験から、あるミッションがラスマスの心に刻まれたー自分の弱さを克服する方法を、そして単にプレイを楽めないような連中を圧倒する方法を見つけることにした。

数年後、学校教育を修了したラスマスには母親の会社の後継者になる道が用意されていた。研究開発部門のチーフに就任した彼には、無制限に実験できる力が与えられた。ラスマスは自由にできるチームと技術で、オメガを使って人間の身体を強化する実験を行った。手始めに自分の身体でテストし、驚くべき結果を手に入れた – 高濃度のオメガに繰り返し晒されたラスマスは虚弱な体質が消えていくのを感じた。ラスマスは興奮し、極秘のテストを他の人たちにも推し進めたが、結果はまちまちだった。身体の状態が改善した者もいれば、逆に悪化した者もいた。ラスマスのチームの研究者たちは懸念を表明し、このように強力なオメガに晒される副作用を考慮して、より慎重なアプローチを取るべきだと主張した。だが、ラスマスは平然としたまま、費用を度外視してテストを続行するよう彼らに伝えた。

ラスマスはこの実験は始まりにすぎないと信じていたーオメガの潜在能力は計り知れない。自分の新しい能力をテストし、強力で新しい実験材料を見つけ研究を推し進めるため、ラスマスは金を使ってプロリーグに入り込んだ。彼を見たプレイヤーとファンたちは不安を感じ、真の目的が何なのかわからないまま、彼の身体能力に突然起こった変化に衝撃を受けた。しかし、ラスマスはそうした疑念を意に介さない一プレイヤーをうまく説得、または欺いて実験を受けさせることができれば、これまで人間に知られていなかったレベルのパワーが見つかるかもしれない。